「扉をあければ」 (Vol.7)
「扉をあければ」 (Vol.6)

「在(あ)りつつも 君をば待たん
打ち靡(なび)く
わが黒髪に 霜の置くまでに」
ー磐姫皇后(いわのひめのおおきさき)-(巻2・87)
≪死ぬもんか 生き続けたる あんた待ち
うちの黒髪 白なるまでも≫
「籠(こ)もよ み籠持ち
掘串(ふくし)もよ み掘串(ぶくし)持ち
この岡に 菜(な)摘(つ)ます児(こ)
家聞かな 名告(の)らさね」
ー雄略天皇ー(巻1.1)
≪良(え)え籠(かご)さげて
良え串持って
菜摘みしておる そこなる娘
居(お)る処(ん)は何処(どこ)じゃ
名は何(なん)ちゅうか≫
「国原は 煙立ち立つ
海原は 鴎立ち立つ
好(うま)し国ぞ 蜻蛉島(あきずしま) 大和の国は」
ー舒明天皇ー(巻1・2)
≪陸(おか)では炊煙(けむり) 昇ってる
水辺に水鳥(とり)が 飛んどおる
なんと好(え)え国 大和の国は≫
「君待つと 我が恋い居れば
我がやどの 簾(すだれ)動かし 秋の風吹く」
ー額田王ー(巻4・488、巻8・1606)
≪あっすだれ 揺れたと思たら 風やんか
あんまりうちが 焦がれるよって≫
「風をだに(風さえも) 恋うるは羨(とも)し
風をだに
来(こ)んとし待たば 何か嘆かん」
ー鏡王女ー(巻4・489、巻8・1607)
≪羨まし 風と間違(まちご)て
うちなんか
待つ人無(の)うて 嘆かれへんわ≫
「寂しみか 思いて寝(ぬ)らん
悔(くや)しみか 思い恋うらん
時ならず(若うして) 過ぎにし子らが
朝露のごと 夕霧のごと」
ー柿本人麻呂ー(巻2・217)
≪寂(さみ)しゅう思て 寝てんかな
悔(くや)しゅう思て 偲ぶんか
寿命待たんと 死んだ児は
まるで朝露 夕霧や≫
「川の上(え)の 連(つ)ら連(つ)ら椿
念入(つらつら)に
見れども飽かず 巨勢(こせ)の春野は」
ー春日蔵首老(かすがのくらびとおゆ)-(巻1・156)
≪巨勢春野 連なり咲いた 椿花
なんぼ見てても 見飽きんこっちゃ≫
*「万葉歌みじかものがたり」 中村 博著 JDC出版より

